大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)2843 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人市原庄八の上告趣意は、末尾に添えた別紙記載の通りである。

(一)被告人Aに関する論旨は、原判決が同被告人を懲役一年六月に処したのは、

第一審判決の刑より重い刑を言渡したものであつて、旧刑訴法第四〇三条に反する、

というのである。しかし同被告人は、本件第一審において懲役一年以上三年以下の

不定期刑の言渡を受けその判決に対して控訴し、また別件第一審において懲役一年

の刑に処せられその判決に対して控訴し、原裁判所は右二個の控訴事件について併

合審理したのであつて、右第一判決の不定期刑の最低限なる懲役一年を取つてもこ

れを第二判決の懲役一年と加えて第二審においては少くも懲役二年までは言渡し得

るのであるから、原審が被告人に対して懲役一年六月を言渡したのは不利益変更の

禁止の原則に触れるものでなく、論旨は理由がない。

(二)被告人Bに関する論旨第一点は、原判決が刑法第四五条前段の規定を適用

したのを非難して、本件は同条後段の問題であるとする。しかしながら、被告人B

は本件犯行後の昭和二三年一二月二七日高松地方裁判所において懲役六月及罰金三

百円に処せられその裁判が確定したのであるから、一応刑法第四五条後段の場合に

当るが、刑法第五〇条の規定上未だ裁判を経ない本件各窃盗罪について処断すべき

であつて、原判決が、同被告人の判示第六乃至第一七の各窃盗の所為は昭和二二年

一一月一五日以前の犯行にかゝる連続犯であるから改正刑法附則第四項改正前の刑

法第五五条により連続一罪とし、これと判示第一、第二の各窃盗の所為と刑法第四

五条前段の併合罪の関係にあるものとして、刑法第四七条本文、第一〇条に従い同

被告人に対する処断刑を定めたのはもとより相当であつて、論旨は理由がない。

(三)同論旨第二点は、原判決には証拠に依らないで判決をした不法がある、と

- 1 -

非難する、しかしながら原判決は、被告人Bが昭和二三年一二月二七日高松地方裁

判所において贓物牙保罪に依り懲役六月及罰金三百円に処せられその裁判が確定し

た事実を同被告人の原審公判廷のその旨の供述によつて認定し、原審第三回公判調

書には同被告人の供述として正にこの事実に符合する記載があるのであつて、論旨

は理由がない。

よつて、旧刑訴法第四四六条に従い、主文の通り判決する。以上は当小法廷裁判

官全員一致の意見である。

検察官 岡本梅次郎関与

昭和二五年四月四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!